ICTを活用した地域医療連携について国策の流れを理解したいMRさんへ

「地域医療連携とICT活用の最新事情」 更新日: 2017年02月14日

最近、医療分野においてもICTの活用が騒がれているけれど、活用の実態は全然見えてきません。わたしが勉強不足なだけかもしれませんが…。
そもそも、なぜ地域医療連携が推進されているの ?という疑問に的確にこたえられる自信がありません。

  • 自分が担当する医院が地域医療に参加するためには、どんな障壁があるの?
  • 地域医療に参加している医院の担当者として、どんなことで貢献できるのだろう?

MRさんの中にも、こんな疑問を抱える方は少なくないと思います。わたしたちがインターネットで手に入れることができる情報は膨大です。しかし、単に言葉の意味を調べただけでは、本当の知識として自分のものにしたとは言えないのではないでしょうか。
今回は、わたしが「地域医療連携とICT活用の最新事情」という教材を読み、個人的に勉強になった点をご紹介したいと思います。

日本の医療分野の情報化推進はどの段階にあるの?

医療分野におけるICT化は、医療保険制度における制約や促進策の影響を大きく受けます。 「日本再興戦略2016」が示すように、世界最高の健康立国を目指す我が国において、医療・介護分野におけるICT化の徹底は国策です。そのため平成28年度診療報酬改定において、ICTを活用した医療連携やデータの利活用が大きく推進されました。 こうした診療報酬上のインセンティブによって、普及率が停滞していた電子カルテシステムも、今後普及率が拡大し定着することが期待されています。 我が国の医療情報システムの導入・拡大にむけた試みは、情報の標準化の推進の段階、セキュリティルールの整備段階を経て、地域医療連携における情報連携の整備段階にまで進展しているといえるでしょう。

    ▼用語解説
  • 日本再興戦略:第二次安倍内閣が掲げる成長戦略のこと。2013年に閣議決定され、その後毎年更新されている。
  • 診療情報提供料:別の医療機関での診療が必要な患者に対し、患者の同意を得て診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合、紹介先医療機関ごとに患者1人につき月1回に限り算定できる。

日本の医療情報システムの進展度合いを理解する医療分野におけるICT化は、医療保険制度における制約や促進策の影響を大きく受けるんですね。 国が診療報酬改定により、ICT活用による医療連携の推進を行っていることは知っていましたが、その背景には日本再興戦略2016で、明確に「世界最先端の健康立国へ」という国の目標が掲げられていたということを初めて知りました。

全国の地域医療連携の数ってどのくらいあるの?

日本医師会総合政策研究機構(日医総研)の調査によれば、2015年度調査の段階で、ITを活用した地域医療連携数は全国に271ヵ所(有効回答数は253カ所)あります。このうち、過半数を超える148ヵ所が、広く一般へ地域医療連携を説明する公開Webサイトを持たない、クローズド形式で運営されています。 連携数の推移を見ると、国の地域医療再生計画がスタートした2011年頃を境として急増しており、地域医療再生基金による財政支援制度が、大きなインセンティブとなっていることが分かります。

    ▼用語解説
  • 地域医療再生計画:二次医療圏単位を基本に、都道府県が地域の医療課題の解決に向けて策定する「地域医療再生計画」に基づいて、国が都道府県に交付金を交付するもの。

ITを活用した地域医療連携数は全国に271か所あるようですが、そのうちの過半数が、一般へ地域医療連携を説明する公開Webサイトを持たない運営だそうです。 地域医療連携の実態が見えにくい理由も分かった気がします。いくら国と医療現場が体制を整えていても、それを利用する国民が何も知らないようでは、もったいないです。 今後は、一般への認知という点も課題になってきそうですね。 そして、そのためにMRができることを考えることも必要となるのではと思いました。

ICTを活用した地域医療連携の具体例にはどんなものがあるんだろう?

ICTの活用は、地方の医師不足・医療過疎の問題等に対処し、限られた医療資源を有効活用するための手段でもあります。 NPO法人しまね医療情報ネットワーク協会が運営する「まめネット」は、2013年に全国に先駆けて全県規模の地域医療連携ネットワークを実現したことで知られています。 島根県には7つの二次医療圏がありますが、県西部や離島・中山間地域で医師不足が深刻化し、産科・外科・小児科などでは医療提供体制の維持・存続が脅かされる状況があります。「まめネット」の実現には、県が1999年に県立中央病院統合情報システムを稼働させ、国の実証実験等に参加するなど、長年に渡り医療情報連携を推進してきた背景があります。 「まめネット」の特筆すべき点は、IT事業者に対しインターフェースを公開していることです。特定ベンダーへの依存を回避し、多くの業者がアプリケーション開発に参加しやすいシステムを構築したことで、医療連携システム構築の大きな課題のひとつである、開発費用の低減を図ることにも成功しています。

ICTを活用している事例として、島根の「まめネット」が紹介されています。 「まめネット」では、IT事業者に対してインターフェースを公開して、多くの業者がアプリケーション開発に参加しやすくすることで、開発費用の低減に成功したようです。 わたしは元SEということもあり、今後はこうした工夫をすることで、ICT導入のための手間や金銭面でのハードルを下げていくことが、重要になっていくのかと興味を持ちました。

医療連携ネットワークは4年で4割が継続不可能に?その理由は?

一方で、医療連携ネットワークが発足しても継続が困難になるケースも少なくありません。 前述の日医総研の調査では、2012年度にITを利用した地域医療連携の取り組みを行っていた154カ所のうち、2015年度に取り組みが継続されていたのは約6割にとどまりました。先述の「ちょうかいネット」のように地域医療連携の広域化に伴って他の連携に吸収される例もありますが、4年間で約4割が何らかの形で姿を消していることになります。 ネットワークが継続されない原因の1つは、金銭面の問題です。同調査によれば、医療連携システム構築費用の平均は約1億7,000万円、年間の運用費用の平均は約810万円にもなります。 多くのネットワークが、システム構築費用は厚生労働省や総務省などの国の実証実験等に参加したり、地域医療再生基金等を財源とした自治体からの公的資金で賄っていますが、スライドに示したように、運用費用は参加施設等から徴収するなど民間資金での運用が多数派を占めています。 運用費用は毎年継続的にかかるため、システムを維持するための経済的負担をどうするかが、ネットワーク継続の鍵です。

医療連携ネットワークが発足しても、4年間で4割が継続不可能になってしまうという衝撃の事実。ネットワーク継続の課題はシステムの運用費にあるようです。 金銭面の負担を考えると、特に規模の小さな病院や診療所では地域医療に参加することに対してハードルが高くなってしまうのも無理はないですね。 電子カルテの普及率が病院や診療所の規模によって大きく異なるのには、シンプルにお金の問題があったのだなと合点がいきました。

今回のまとめ

地域医療連携を進めるためには、地域全体が一丸となって力を入れていかなければ実現しないということを、改めて感じました。今後、この現状の課題をどうやって解決していくのか、あらゆる地域の動きが気になります。政府はどうやって各地域をサポートしていくのでしょうか。

今回ご紹介した教材は、地域医療連携に関する背景や現状、そしてこれからの医療の在り方を解説しています。その知識をもって改めて、あなただからできるMRとしての役割を考えてみませんか?

author:水谷菫
メディカルエデュケーション(editor+)。
東京・青稜高校出身。早稲田大学スポーツ科学部卒。趣味はラクロス。就職活動時代はMRかSEかという2択で迷った元SE。現在、医療・介護・ヘルスケア部門を勉強中です。

今回ご紹介した教材はこちらです。

教材イメージ

地域医療連携とICT活用の最新事情

216,000円(税16,000円)

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教材のサンプルイメージ

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