地域医療に貢献する方法を模索しているMRさんへ

「地域医療連携推進法人制度の施行」をまとめました。 更新日: 2017年03月22日

先日、男子バスケットボールのB.LEAGUEの観戦に行きました。試合終了のブザーとともに放たれたシュートが勝敗を左右するというところまでもつれ込む大接戦でした。観戦する立場では、やはり接戦を観るほうが面白いと実感しました。自分の試合は圧勝したいものですが・・・。
さて、今回紹介する教材は「地域医療連携推進法人制度の施行」です。わたしが医療関係の世界に飛び込んでから今まで、一番よく耳にしたワードは「地域医療」かもしれません。思えば、この勉強帳第一回のテーマも「地域医療とICT活用の最新事情」でした。
「地域医療」と聞くと、なんとなくイメージは湧いてくるのですが、初めて「地域医療連携推進法人制度」と聞いた時には、その法人がどのように地域医療の連携を推進するのか、想像もつきませんでした。
この制度が施行されることで、MRさんにはどういった影響が現れるのでしょうか。現れうる影響を見通して、今からそれに備えることができれば、それだけでほかのMRさんと差をつけることができるのではないでしょうか。時代がどのようなMRを求めているのか、最新事情を知ることで少しずつ見えてくる部分もあるかと思います。

医療制度改革の2つの視点と地域医療連携推進法人制度

医療制度改革は大きく2つの視点に分けることができます。 ひとつは医療保険制度改革などの「お金」をめぐる改革、もうひとつは医療法改正などの「医療提供体制」をめぐる改革です。 2015年9月に医療法が改正され、地域医療連携推進法人制度が創設されました。そして、同じ2015年に地域医療構想策定ガイドラインが発表されています。 2017年4月からスタートする地域医療連携推進法人(以下、連携推進法人)は、地域医療構想を達成するためのひとつの選択肢であり、医療提供体制を変革するものです。経営母体が異なる医療機関や介護施設が地域における役割分担を明確にすることで、より効率的な連携を実現するための仕組みです。

医療制度改革の目的を大まかに把握するためには、大きくこの2つの視点のどちらかに分類して見てみるといいのですね。単に改革の中身を知るだけではなく、目的を知ったうえで改革の中身を知ることで、より深く理解することができそうです。 「地域医療連携推進法人」は、地域として繋がりのある一つの医療を患者さんに提供していくための仕組み、というイメージでしょうか。

高齢化の推移と将来推計

地域医療構想の背景には、高齢化と人口減少の急速な進行があります。 「団塊の世代」と呼ばれる約806万人もの人が75歳を迎え後期高齢者の推定人口が約2,200万人になり、医療・介護需要の最大化が見込まれる「2025年問題」がクローズアップされがちですが、高齢者人口の増加には大きな地域差があり、過疎地域を中心に高齢者人口は既に減少がはじまっています。現段階で連携推進法人の設立を検討しているのは、主に、こうした目の前の人口減・患者数減にさらされている地域です。 国の予測では、75歳以上の人口は多くの都道府県で2025年頃までは急速に上昇しますが、その後の上昇は緩やかになり、2030年頃をピークに減少に転じます。10年、20年先を見据えて再編・統合を考えている病院関係者がどれだけいるかはわかりませんが、現時点では、連携推進法人に対する診療報酬での誘導策が見えていないため、様子見をしている病院関係者も多いと思われます。しかし、病床機能の分化推進で過剰な病床数が削減され、医療提供体制の再編は必然的に起こります。

既に高齢者人口が減少している地域もあるのですね。MRのみなさんの担当エリアはいかがでしょうか? 今までの勉強帳では、診療報酬の中身を知ることによって医療政策の進む方向が見えることを学んできましたが、地域医療連携推進法人は現時点では診療報酬に反映されていないようです。しかし、医療提供体制の再編は、時期は違えどどの病院関係者も通る道となりそうです。その時期にMRに求められることは一体なんなのでしょう・・・。

地域における医療・介護サービスのネットワーク化

非営利ホールディングカンパニーが医療法の中で新型法人として検討が進む中、検討会の議論では営利目的の株式会社の仕組みであるホールディングカンパニーという名称が医療機関にはなじまないとされました。当初、アメリカのホールディングカンパニー型の大型医療法人構想も提案されましたが、最終的に「非営利ホールディングカンパニー」という名称の制度は消え、代わって打ち出されたのが、地域における医療・介護サービスのネットワーク化を図る本部機能という役割でした。 最終的に「地域医療構想を達成するための一つの選択肢」として、2015年9月28日に成立した改正医療法により地域医療連携推進法人が規定され、現在に至っています。 ちなみに、誤解されやすいのですが、税法上の解釈で営利とは収入から経費を差し引いた後の利益を特定の人々が分配することを指し、商用目的で利潤を出すことを目的とすることではありません。 そもそも、医療法人は医療法第54条で剰余金の配当が禁止されている非営利法人です。

    ▼用語解説
  • 地域医療構想:2025年に向けて「高度急性期・急性期・回復期・慢性期」の医療機能ごとの医療需要と必要病床数を、二次医療圏を原則とする「構想区域」ごとに推計し、それに合わせた医療提供体制を構築するための施策を定める。都道府県が医療計画の一部として策定する。
  • 医療法第54条:「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。」と定められている。

地域医療連携推進法人制度の前身に非営利ホールディングカンパニーというものがあったのですね。地域医療連携推進法人制度が創設されるまでには紆余曲折あったということが分かりました。また、あくまでこの制度は「地域医療構想を達成するための一つの選択肢」のようです。地域医療構想を達成するために、ほかにはどんな方法があるのか興味が湧きました。

連携推進法人は契約のとりまとめ役に

医薬品や医療機器などの共同購入による経費削減は医療機関にとって大きなメリットですが、それはそのまま製薬企業の懸念事項になります。 厚生労働省は2月17日付けの医政局長通知で、連携推進法人が「一括購入を調整」し、個別の購入契約については参加法人(社員)がそれぞれ締結することを明示しました。医薬品の共同購入は連携推進法人が一括して購入し参加法人に転売する形ではなく、連携推進法人は共同購入契約のとりまとめ役になるわけです。 医薬品の共同購入はすでに公的病院や自治体病院などで行われており、フォーミュラリ導入を検討する医療機関も増えています。 地域の有力病院は医薬品のコスト削減について医薬品卸との交渉術をすでに持っています。近い将来、強い交渉術を持った地域の有力病院がまとめ役となった共同交渉が二次医療圏単位で起きることも予想されます。 競合品のない画期的新薬だけが持つ価格交渉力も永遠ではありません。医薬品の共同交渉はあくまで価格交渉であり、価格決定権を持たないMRは直接交渉の場に立つことができないため、地道にMSとの信頼関係を高め、地域の実情にあわせた連携をいかに構築できるかが、MRが地域で生き残るための鍵になるでしょう。

    ▼用語解説
  • フォーミュラリ:医療機関における患者に対して最も有効で経済的な医薬品の使用における方針のこと。(聖マリアンナ医科大学病院 薬剤部 増原 慶壮氏提供資料より)

現時点ですでに、医薬品や医療機器の共同購入による影響に危機感を感じているMRさんもいらっしゃるのではないでしょうか。信頼関係というものは一朝一夕で高まるものではありません。今から先を見据えて、MSさんとの信頼関係を高めていくためにどうすればよいのか、改めて考えるいい機会なのかもしれません。

今回のまとめ

地域医療連携が進められる中で、MRさんはもはや、医師だけを見ていればよい、という時代ではなくなってきているのではないかという印象を受けました。地域医療に関連する介護分野などへも視野を広げ、地域医療をトータルで見ることができるMRさんを目指してみるのはいかがでしょうか。 わたし自身も、医療のことだけを学べばよいわけではないのだと痛感したテーマでした。

author:水谷菫
メディカルエデュケーション(editor+)。
東京・青稜高校出身。早稲田大学スポーツ科学部卒。趣味はラクロス。就職活動時代はMRかSEかという2択で迷った元SE。現在、医療・介護・ヘルスケア部門を勉強中です。

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