「添付文書の大改訂」を目前にして、患者の安全を守るための情報提供について考えてみた

「大きく変わる添付文書の記載項目」をまとめました。 更新日: 2017年5月30日

日差しが強く、暑くなる日が増えてきました。天気が良いと、海にドライブに行きたくなります。

さて、2019年4月に添付文書の記載要領が全面的に改正されるということで、今回のテーマは「大きく変わる添付文書の記載項目」です。
この業界に入るまで添付文書を目にすることはほぼ皆無でしたが、今となっては医薬品に関わる医療従事者にとって重要な情報源であると認識しています。
そんな添付文書のどのような点が改正されるのか、また、どのような経緯で改正に至ったのか、改正によってMRが受ける影響はあるのか、といったことについて学んでいきます。施行になってから慌てることのないように、今から準備を始めてみるのはいかがでしょうか。

今回の記載要領全面改正の経緯

前回の改正以降、日本は高齢社会から超高齢社会に突入し、医療の進歩やIT技術の進展など、医療を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。 このような社会背景を考慮し、2010年に出された「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」では、添付文書に最新の知見を反映することに加え、記載要領の見直しや改訂内容の迅速な周知などが提言されました。 ほぼ同じ時期に実施された添付文書に関する大規模アンケート調査(以下、「医師・薬剤師大規模アンケート」)や、添付文書のモデル案を用いた検証アンケート調査(以下、「検証アンケート」)の結果、そしてパブリックコメントで寄せられた約1,000件の意見を踏まえ、2017年3月に添付文書記載要領改正案の概要が示されました。現在、改正案作成の最終段階に差し掛かっており、今年度早期には新記載要領の通知が発出される予定です。 新記載要領の施行は2019年4月以降の予定ですが、円滑な移行に向け、一定の経過措置期間が設けられることになっています。

    ▼用語解説
  • パブリックコメント(パブコメ):政令や省令、行政の指導指針などを決める上で事前にその案を公表し、一般から広く意見を募る制度。
    ▼参考
  • 大規模アンケート調査:平成20〜22年度・厚生労働科学研究「医療用医薬品の添付文書の在り方及び記載要領に関する研究」(上田班)による全国の医師や薬剤師を対象としたアンケート調査。回答者数は医師約3,500名、薬剤師約1,700名。 検証アンケート調査:平成23〜25年度・厚生労働科学研究「医療用医薬品の使用上の注意の在り方に関する研究」(佐藤班)による添付文書の記載要領案とモデル案を用いたアンケート調査。回答者数は計1,100名(医師505名、薬剤師577名、職種不明18名)。

より添付文書が使いやすくなるよう、多くの意見を踏まえて改正を行おうとしているのですね。これも、元をたどれば服薬をする人がより安全に薬を利用するため、と言えそうです。また、2019年4月の施行に向けた情報は随時出てきそうなので、アンテナを高く張っておこうと思います。

その他の改正ポイント

このほか、スライドに示したような臨床上必要と思われる情報の充実や記載内容の細かい整備なども行われます。 MRは医療従事者やMSなどから記載内容がどのように変わるのかを尋ねられた場合に備え、今のうちから改正のポイントを押さえておくことが必要です。 具体的には、通し番号の導入で製品ごとに情報の有無が明確になるため、自社製品についてどの情報があるのかないのかを把握し、情報が追加される項目は関連する臨床試験や製造販売後調査などの結果を見直す必要があります。また、特定の患者集団の各項は特定使用成績調査の項目に直結しており、MRが収集した安全性情報がこれまで以上に添付文書に反映されることになります。 このように、添付文書の改正は単なる書面上の変更ではなく、MRの日常業務と深く結びついているのです。

    ▼用語解説
  • 特定使用成績調査:GPSP(Good Post-Marketing Study Practice:医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令)に規定された製造販売後調査の一つで、使用成績調査のうち、小児や高齢者、妊産婦、腎機能障害または肝機能障害を有する患者、医薬品を長期使用する患者など、使用条件が定められた患者について安全性や有効性などを確認する調査。
添付文書の記載要領が改正になると聞いた時には、薬を処方する人々にとって大きな出来事だと考えていましたが、それだけでなく、やはり薬に関する情報を提供するMRにも影響は大きいのですね。MRが収集した安全性情報がこれまで以上に添付文書に反映されるということを聞くと、より一層身が引き締まる思いではないでしょうか。

医療現場での添付文書の主な活用時

また、主にどのような時に活用するかという問いには、「副作用を調べる時」や「効能・効果、用法・用量を調べる時」という回答が約9割を占め、次いで相互作用や特定の患者集団への投与に関する情報を調べるために活用されていることがわかりました。 添付文書は医師や薬剤師などが医薬品情報を得るために活用する最も基本的で身近な資材です。今回の改正で情報がより充実し、整理されることで、医療現場での添付文書の活用頻度は今後さらに高くなっていくことが期待されます。

当然ですが、すべての医師や薬剤師に対して、取り扱いのある自社製品すべての説明をすることは不可能です。だからこそ、医療現場にいる人々にとって添付文書が重要な情報源となるということが、よく分かりました。

MRに求められる情報伝達能力

一方で情報入手の際の問題点として、「製薬企業によって情報伝達能力(MR教育)に差がある」、「情報提供の頻度、提供時期、内容に統一性がない」、「情報提供の方法等に問題がある」といった意見が寄せられました。これらはすべて、医療機関からのMRに対する厳しい声として、受け止めなければなりません。 添付文書記載要領の全面改正に伴い、MRの医療機関への訪問機会が増えることが予想されます。このときに問われるのが情報伝達能力です。今回の改正では、「特定の患者集団への投与」など、使用上の注意に関する情報が細かく整備されるため、現行の添付文書に比べて注意喚起がより明確になります。MRは医療従事者からさらに詳しい情報を求められることもあるでしょう。そのときに正確な情報をわかりやすく伝えられるよう、製品情報を改めて見直し、整理しておく必要があります。

厳しい声も挙がっているようですが、裏を返せば多くの医師や薬剤師がMRの情報を頼りにしているからこその意見なのではないかと感じました。たくさんの意見や希望に応えることは決して簡単なことではありませんが、医療従事者に頼られるMRという職業の社会的な重要性を改めて認識することができました。

今回のまとめ

添付文書の記載項目の改定により、MRの方々は医療機関への訪問機会は増えることになると思います。その際には医療従事者からの質問に的確に答えられるようにしておくことで、より一層、信頼感を深められるチャンスになりうるのではないでしょうか。また、これを機会に情報の入手方法や伝え方を見直すことで他のMRと差をつけることができるかもしれません。 下記教材では、今回ご紹介した内容以外を、より深く掘り下げて解説しています。

author:水谷菫
メディカルエデュケーション(editor+)。
東京・青稜高校出身。早稲田大学スポーツ科学部卒。趣味はラクロス。就職活動時代はMRかSEかという2択で迷った元SE。現在、医療・介護・ヘルスケア部門を勉強中です。

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