今さらきけない?「薬局ビジョン」と「健康サポート薬局」について知りたいMRさんへ

「健康サポート薬局と薬局ビジョン実現への方向性」をまとめました。 更新日: 2017年5月31日

最近、2歳になる姪が「おっちょこちょい」という言葉を、なぜか「どっこいどっこい」と間違えて覚えてしまいましたが、それが面白く、誰も真剣に訂正しようとしません。このまま訂正のタイミングを見失いそうです。

さて、病院と同様に、私たちの健康生活に欠かせない存在である薬局。現在、薬局や薬剤師に対して再編や行動変容が求められています。これは、2015年10月に「患者のための薬局ビジョン」が策定されたためです。
今年3月には、薬局ビジョンの実現に向けた国によるモデル事業やアクションプラン報告による先験的な取り組み事例が発表されました。今回は、そもそもなぜこのようなビジョンが策定されたのか、それにより、薬局や薬剤師の役割にどのような変化が起こるのかついて「健康サポート薬局と薬局ビジョン実現への方向性」を通して学んでいきたいと思います。

医薬分業の年次推移

医薬分業とは、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担し国民医療の質的向上を図るものであり、医師が患者に処方せんを交付し薬局の薬剤師がその処方せんに基づき調剤を行うことで、有効かつ安全な薬物療法の提供に寄与することを狙いとしたものです。つまり、薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師、薬剤師という専門家が分担して行うことです。 かつて日本では医師が処方も調剤も行っていましたが、厚生労働省が医薬分業を推進し、1989年に全国平均11.3%だった医薬分業率は、2015年には70.0%にまで拡大しました。

    ▼用語解説
  • 医薬分業率:処方せん受取率ともいう。外来で処方せんを受け取った患者さんのうち、院外の薬局で調剤を受けた割合。

医師が処方せんを交付し、処方せんを持っていった薬局の薬剤師がその処方せんに基づき調剤を行うということは、当たり前のことだと思っていましたが、ここ20年ほどで急速に広まったものだったのですね。

医薬分業が進んだ結果

この間、薬局は処方せん受け入れ枚数を増やすことが収益につながるとして、規模拡大を図るチェーン店を牽引役に、全国の薬局数はコンビニを上回る約58,000ヵ所にまで増加しました。結果、複数の医療機関を受診する患者の多くが、各医療機関の門前薬局に処方せんを持ち込み、薬を受け取っています。 この現状について、2015年3月の規制改革会議では、「医療機関の周りにいわゆる門前薬局が乱立し、患者の服薬情報の一元的な把握などの機能が必ずしも発揮されず、患者本位の分業になっていない」といった声も聞かれるようになりました。

    ▼用語解説
  • 規制改革会議:経済社会の構造改革を進める上で必要な規制改革を進めるための調査審議を行い、内閣総理大臣へ意見を述べることを主要な任務として内閣府に設置された機関。2016年より規制改革推進会議へ移行。
    ▼参考
  • 薬局数が58,326ヵ所(平成27年度衛生行政報告例)であるのに対して、コンビニは54,822店舗(2017年3月:日本フランチャイズチェーン協会)。
確かに、私自身は「病院から帰宅するまでの道で寄れるから」という立地的な理由以外で薬局を選んだことがないと、これを読むことで気づきました。確かに立地的な便利さは患者にとってわかりやすいメリットですが、例えば、多剤服用している患者さんにとって服薬情報の一元的な管理ができるというメリットは伝わりにくいのかもしれません。

半数の薬局が施設基準を届け出

2017年2月時点において、前述の施設基準を届け出ている薬局数は29,086施設あり、これは保険薬局全体の50.7%にのぼります。 しかし、要件のうち「医療に係る地域活動の取組への参画」は薬局にとってハードルが高いようです。 「次世代薬局研究会2025」の調査では、母親を対象に子どもの健康相談を行っている先進的な薬局もありますが、多くは地域とのかかわりが少なかったため、この要件をクリアするのに苦労したという報告があります。 かかりつけ薬剤師として、患者さんに選択され、信頼されるようになるには、地域における活動の積み重ねが重要なキーポイントです。

    ▼参考
  • 次世代薬局研究会2025:超高齢社会における薬局・薬剤師像を追究し、医療システムの中で欠くことのできない確固たる地位を築くことを目的に、各種研修会、薬局機能、薬剤師職能の啓もう普及活動、広報活動等を実施する(ホームページより)。

確かに、薬局主体で何かしらの取り組みをしているという話題はあまり聞いたことがありません。こういった取り組みのアイディアを提供することや他地域での事例について情報提供することは、今後、MRにも求められるのかもしれません。

薬局のかかりつけ化に伴うMRの支援

調剤以外で薬局が果たすべき機能分担という面からみれば、それぞれの薬局の役割が地域内で十分に発揮されているとは言い難い現状でしょう。 今後ますます、患者が複数の医療機関を受診しても、かかりつけ薬局へ処方せんを持ち込むよう、国は誘導していく構えです。つまり、外来調剤だけに依存する薬局は、意識改革と行動変容を起こさないと生き残れなくなるということです。 MRは、患者中心の地域医療を構築するための病院・診療所間の医療連携の実際に触れる機会も多いはずです。それは自社の製品に関連する病診連携かもしれませんが、かかりつけ医と専門医による医療機能の分担という診療提供体制を核にして、地域包括ケアシステムの設計もなされているはずです。MRによる薬局・薬剤師への情報提供も、そうした地域包括ケアシステム構築の一環として機能することが期待されています。

薬局が地域に根付くことを求められているのと同様、MRにも担当地域全体に関わっていくことが求められているようです。MR個人が担当する地域全体をサポートすることは容易ではないと思います。やりがいや思い入れだけでは難しそうですし、サポート体制やシステム構築がどのように行われるのか興味が出てきました。

今回のまとめ

薬局や薬剤師の変容が求められている一方で、どのようなアクションを起こすべきか、戸惑いを抱く薬局や薬剤師も多そうだという印象を受けました。そんな時に、別の地域の事例を紹介するなどして寄り添っていくことで、後々地域に根付くMRとなることに繋がるのではないかと感じました。

author:水谷菫
メディカルエデュケーション(editor+)。
東京・青稜高校出身。早稲田大学スポーツ科学部卒。趣味はラクロス。就職活動時代はMRかSEかという2択で迷った元SE。現在、医療・介護・ヘルスケア部門を勉強中です。

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